COLUMN

2020年6月

「クルクル」時間は無給休暇!?PC作業効率化の話

日々PCの作業的に圧倒的に多用しているのがAdobe Creative Cloudで、特にグラフィックではPhotoshopとIllustrator、動画はPremiere ProとAffter Effectsです。

作業中盤以降ではこれらソフトを一個ずつ動かすことはあまりなく、お使いの方ならお分かりかと思いますが連携(リンク)して使うことが多いです。
例えば印刷物であれば、背景や画像はPhotoshopで作りながらそれをIllustratorの中に取り込んでテキストやちょっとしたイラストを乗せていったりします。テキストを乗せてから下の画像の色味やレイアウトを調整する場合などは画像の方を編集したりするのですが、これを個別の作業(画像編集→保存→読み込む)で行うと効率が悪いので、PhotoshopとIllustratorは同時に稼働して画像を編集したら即座にIllustratorに反映されるようにして作業をします。これはPhotoshop&Illustratorだけではなく、Illustrator&Affter Effects、Premiere Pro&Affter Effectsなど2つ以上のソフトが同時稼働は普通のことです。

軽い素材のリンクなどは良いのですが、画像が高解像度だったりエフェクトが多めだと数ギガなどというのはざらにあり、ただでさえ軽くはないソフトを2つ同時稼働なのでスペックが低いPCだと読み込むだけで時間が掛かる場合もあります。

Adobe Creative Cloudは一応ですが安価なノートPCやタブレットPCでも稼働はしますが、1工程ごとに「クルクル」してすごく時間が掛かります。この「クルクル」している時間、トータルで何分?いや何時間?年にしたら何日、何十日分になるのでしょう?

もちろん「クルクル」してる時は何も出来ませんので自分にとっては空白の時間です。その間に違うやることでもあればですけど、それにしても効率が悪いですよね。以前、まだそんなに高性能CPUがなかった頃は保存をクリックしてからコンビニ行ってこれるくらいの時間が掛かることも普通にありました。

業務的に時間工数で換算するならこの「クルクル」時間中は無生産なので無給と同じですし、経営者さんならこの時間分も給与を払っていることになりますよね・・・。そう考えると、5万円のPCで何十時間も無駄にするなら30万円の高性能PCでロスタイム無く作業した方が全然効率的だと思います。もちろん支給されたPCでハード面はどうにもならないとかあると思いますが、使い方やファイル整理などいろいろな要素で少しでも改善できることはあると思います。

「クルクル」している時間は自分の時間ではないですし、その時間が長ければ長いほど生産性が低いということを認識して今一度ハードとソフトのスペックや状態を再度チェックしてみるのはいかがでしょうか?初期投資は負担になりますが決して高性能・高価格のPCが減価償却以外で元が取れないということではないと思います。
もちろん猫に小判では困りますが・・・

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  2020/06/26   ABOVE

レーシングカーの画像トリミング

仕事上、画像のトリミングは日常茶飯事です。
大体は何かの写真を切り抜いて、合成してイメージビジュアルを作るというものが多いのですが、そこで一つ車の写真処理には拘りを持っています。

合成用の画像トリミングというと一般的には後から編集しやすいように「マスク処理」といって余分な部分消して行くのではなく、データー上でパスで切り抜いて見えなくしていく手法が多いかもしれません。
置き撮りの製品とか人物とかもパスで抜く場合もあり、そのつもりでクロマキー撮影されていればまだ良いのですが風景と同化している所から抜くとかはかなり大変だったりします。自分の仕事ではスタジオ撮影された物など殆どありませんし、クロマキーなんて皆無ですべて屋外撮影された写真から起こします。

今は切り抜き専門の業者もあってデータを送れば数時間で切り抜いてくれるサービスもあるのですが、特にレーシングカー、それもフォーミュラマシンのような複雑な構成だと特にフロントのサスペンションアームや空力パーツが複雑なので、オペレーターの方では部品なのか風景なのか分からず「ぱつ」と切れて返って来たりもして困ることもあり、特に走行写真などは依頼できません。(それほど作業代金は高額ではないのでお願い出来れば楽なんですけどね・・)
他にもアンテナやらピトー管やら細かい部品もありますし、低解像度の素材とかだと判別できないことも多々あり自分も怪しい時は他の角度の写真と比べたり、それでも怪しい時は雑誌はもちろん、予選の写真だからここのパーツはないはず、レインセットだからこうなっているだろうとか、ビジュアル以外の情報からヒントを探ったりとCG処理以外にずいぶんと時間を費やすこともあります。
最終的に合成したら分からなくなっちゃうこともざらにありますけど・・・

あと処理方法として自分の場合、走行写真はマスク処理(ベクトル処理)ではなく、いわゆる「消しゴム」で余白を消していくようにしています。(最終的な目的や元素材の解像度にもよりますが)
その理由は、マスクで抜くとデータ数値上で処理されるので「スパっ」と切れます。これはこれで切れ目がシャープでキレイに見せられるのでもちろん使う時はありますが、とかく走行している車(動いている物)はもちろん静止している訳ではないのでシャープなラインが逆に違和感を感じる場合もあるからです。
現実的にも動いているのですから人間の目にはブラー(残像)が無意識の内にあるはずですし、路面を走っていて空気抵抗もあれば少なからず振動もしています。これをピタッとさせるということは、真空で鏡のような路面を完全に硬化した物質で出来たタイヤで走り、かつエンジンも振動していない状態と同じことだと思います。

039_2.jpgつまり前に走っているだけではなく、ずっと振動もしていて"揺らいでいる"のがリアルな表現だと思うので自分の場合はあえて「ジャギー」を活かして自然な処理にするために「消しゴム」で少しずつ消すというより削っています。また、その揺れ幅も部品の種類によって異なる(はず)ので例えばタイヤや薄いウイングなどは大きく薄めに、逆に硬いところはシャープ目にとかもちろん正解はありませんが処理を使い分けています。

たまに静止した車のタイヤをCG処理で回っているように合成して走行している風に見せて・・・なんてのもありますが、それはそれで違う処理でなるべく違和感を緩和させて落としどころを見つけますが・・・

そこまで時間かけて処理しても最終的に名刺くらいの小さい物だったり、遠くの大型看板だったりして報われない場合も多々ありますがそれでも一つの拘りとして、撮影されたカメラマンや被写体に敬意を払う意味でもコツコツと手を抜かずに日々作業をさせていただいております。

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  2020/06/19   ABOVE

PS5『グランツーリスモ7』 発表!・・・色の再現性の話

待望のプレイステーション5の発表と共に『グランツーリスモ7』のトレーラーも公開されましたね。

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実は20数年前になりますが「Gran Turismo 3 A-Spec」の時に少しお仕事をさせていただいた事があり、当時中野坂上にあった会社にも何度もお邪魔して山内さんとも色々なお話をさせていただいたことがあります。

言うまでもありませんが、初代PlayStationのソフトとして1、2共に大ヒットしその後ハードがPS2になった最初のGTとしての「3」だったので色々と模索されていましたし、実際発売もかなり延期になりました・・・

山内さんとのお話の中でふと色の再現性の話を思い出しました。
登場する車両のボディーカラーをどう作るか?の話題だったかと思いますが、もちろん全て実車データを分析して作るのですがボディーカラーを再現するには素地(地金)の種類・色から、サフェーサー(下地処理剤)の色、そして上塗り塗料~クリアと見えない深層の色まで分析してボディーカラーを再現していたと記憶しています。
もちろん上層の色を塗っちゃえば関係ないじゃん!と思いましたが、たぶん動かない
1シチュエーション(静止画)であれば再現できるのでしょうが車は走ります。その時の光の当たり方、種類、反射の仕方などなど数限りない状況で色の見え方はもちろん変わるので、単色に光が当たったから明るく~などと単純なことではありません。
それをリアルに再現するために見える色がどう構成されているのか知る必要があるとのことで、単純に当時は「変態」だなと思ったくらいです。
しかもデジタルでですから・・・

一般的にデジタル表現の色の種類は「16,777,216」種類(RGB)です。ただ1変わったくらいでは人の眼力では把握できません。
4Kモニターで1ドットずつ異なる色を配置しても半分くらいまでしか表示できないくらい(4k=8,294,400)デジタル色は存在はしています。

現在のPS4でフルHD(2,073,600)のモニターでも実車の画像かグランツーリスモかぱっと見では分からない時もあるくらいですよね?
それでもまだ再現しきれていない色表現が見えないけど存在をしているということでしょう。

次期PS5は4Kの4倍の8K(33,177,600)対応とのことらしいです。
恐らく山内さんは「やっとこれで実車を再現できる」くらいに思っているのかも知れませんね・・・

PS5でグランツーリスモ7をプレイする時は「8K」モニターでやってみたいものです。

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  2020/06/12   ABOVE

「日付変えるだけですよね?」って・・・フォントの話

色々と延期や変更に伴い、春先に既に作ってあったものを再編集したりという機会もあるのですが、中には「日付変えるだけなんで追加費用は発生しませんよね?」みたいな安易な依頼もあったりします。1文字幾らみたいな仕事はしていないですし、今回の場合も作り直しでも所謂「校正」の範疇として対応をしています。

ただWordの書類文章と違ってアイキャッチを要するグラフィックとなるとテキスト打ち直し程度ではないのですが、いまだにプロユースのソフトを持っていて使い方を習得していれば何でもできると思っている人は多いですね。中には「フォント」というのはパソコン買った時に入っていて、それをソフトでゴニョゴニョして作るんでしょ?と思っている人もいたり・・・。
最近はAdobe Fontsとかでだいぶ手軽になりましたが、それでも特にDTPで必要な日本語フォントは別途「買うもの」で、しかも数万、数十万円するんですけどね・・・

ちょっと大ベテランの方だとPOPはとにかく「文字は太く、色は赤!」なんていう人もいますが、ドンキや八百屋のPOPじゃないんだから・・・と思ったりします。もちろん広告は「目立つ」のも大事ですが「カッコ悪いのが目立つ」ことになって購買意欲や信用の低下になっていることも理解して欲しいところです。

例えフォントをたくさん持っていても、じゃあそれを打てば完成という訳でもありません。

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↑の画像はWindowsならデフォルトで入っているMSゴシックで作った簡単な一例ですが、特に日本語フォントは英数字と漢字、ひらがな、カタカナ、全角・半角が混在した文章はそのままでは使い物にならないものがほとんどで、1文字ずつ微調整(カーニング・トラッキングなど)するのことがほとんどです。(自動調整をワンクリックでピッタリ決まった!なんてことはまずありません)
調整の方法も何か正解があるわけではなく、数字ならこの値、この文字ならこの値とかありませんし、隣同士の文字の種類によっても調整値は違います。しかも解像度によっては0.01pt単位(1/1000もある)で違いが表れるのでいい加減にはできません。(上記の例は1pt単位の調整しかしていませんが)

また、英数字と日本語で違うフォントにする事も普通ですし、そうなると調整項目はもう無限になってしまいます。
じゃあ何が正解で着地するかといえば「見た目がのバランスや気持ちが良い、カッコイイ」とか全ては自分の『感覚』なのでこれでOK!と思って翌日に見たら「この文字は0.1pt上だったな」とかは日常茶飯事です。

日々一文字ずつ拘りを持って制作していますし、テキスト打ち直して終わりなんて仕事をしていないことを少し知っていただければ嬉しいですね。

あと、例えWordでもある程度文字の調整はできるので、社内の会議資料でもちょっと読みやすいようにそんなところをいじれる気配りができると印象が良くなるかもしれませんよ。

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  2020/06/05   ABOVE